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名古屋地方裁判所 昭和44年(行ウ)8号の2 判決

原告 成瀬保彦

被告 千種税務署長

訴訟代理人 高崎武義 下畑治展 ほか三名

主文

一  名古屋東税務署長が原告に対し、昭和四一年一二月二〇日付でなした課税処分中、

(一)  昭和三九年分所得税について総所得金額を一、一六九、〇〇〇円とする更正処分のうち総所得金額につき一、〇一四、七三五円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分のうち右総所得金額一、〇一四、七三五円に基づき算定した所得税額を超過する分にかかる部分

(二)  昭和四〇年分所得税について総所得金額を一、九〇〇、〇〇〇円とする更正処分のうち総所得金額につき一、八三一、〇五六円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分のうち右総所得金額一、八三一、〇五六円に基づき算定した所得税額を超過する分にかかる部分

はいずれもこれを取消す。

二  原告のその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用はこれを四分し、その一は被告の負担とし、その余は原告の負担とする。

事  実 〈省略〉

理由

一  (本件課税処分の内容等)

請求原因第一、三項記載の事実については当事者間に争いがない。

二  (審判の対象等について)

原告は、課税処分取消訴訟における審判の対象は更正処分手続が適正であつたか否かであり、また課税標準及び税額の適正は更正処分をなした調査当時の資料のみに基づいて立証すべきであると主張する。

一般に、行政処分取消訴訟の審判の対象は行政処分の違法性の存否であるが、行政処分はその内容が違法である場合は勿論のこと、その処分に至る手続が法律の規定に違反した場合にも違法となるものであるから、行政処分手続の違法性についても審判の対象となりうるものである。しかし、所得税の更正処分については、法は、「税務署長はその調査に基づき更正することができる」旨規定するのみであつて、その調査手続については何ら定めるところがなく、その調査の範囲、程度、手段等についてはすべて税務署長等の権限ある税務職員の合理的裁量に委ねていると解される。従つて、その調査手続が更正処分の適法性に影響を与えることは原則としてなく、更正処分の適否はその認定された課税標準または税額等が実際の所得に相応しているか否かによるのである。仮に、税務署長の調査が不十分であつたとしても、かかる事由は更正処分の違法事由とはならず、調査が不十分であつたため更正された所得金額ないし税額が不当であつた場合には、これを理由として更正処分の取消を求めれば足りるのである。

よつて、更正処分取消訴訟の審判の対象は当該処分において認定された課税標準、税額等が客観的に存在するか否かであつて、原告主張の如く、更正処分時において税務署長がいかなる調査をなし、いかなる資料に基づき、いかに認識・判断をなしたかについては審判の対象となるものではない。従つてまた、被告は、原告の所得額について、口頭弁論終結時まで適宜その主張・立証をなすことができると解すべきであり、更正処分時における認識・判断や、当時存した資料等にその主張・立証が限定されるものではない。原告のこの点に関する主張は理由がない。

三  (推計の許容性について)

被告は原告の営業所得を推計により認定するものであるところ、〈証拠省略〉によれば、原告の提出した本件係争各年分の所得税確定申告書には所得金額の記載のみで収入金額、必要経費の記載がなく、また収支計算書の添付もなかつたこと、そこで名古屋東税務署長は昭和四一年九月頃から同年一二月頃までにかけて係員をして原告の所得調査を行なわせ、右期間中に係員が数回原告宅へ赴き調査をしたが、原告上り帳簿書類の提示をうけることができず、所得金額の調査について原告の協力を得られなかつたこと、そこで右署長はやむを得ず原告の取引先を調査するなどして、推計により所得額を算定して本件課税処分をなしたものであることが認められ、右認定に反する証拠はない。右事実によれば、右署長は原告の所得金額の実額を把握することが不可能な状況にあつたことが明らかであるから、その所得金額を推計により認定したことに何ら違法はないというべきである。

四  (原告の総所得について)

原告が本件係争年当時、名古屋市千種区天満二ノ三八天満市場内に店舗を賃借し、「成瀬」の商号で青果物小売業を営み、その傍ら、同区田代町鹿子八一ノ八〇〇において貸家を所有し賃貸するとともに、昭和三九年八月初め頃から同所において店舗を有し「ナルセストア」の商号で青果物、食料品及び菓子等の小売業を営んでいたこと、そして原告の昭和三九年分、四〇年分の不動産所得金額(昭和三九年分一九八、〇〇〇円、同四〇年分二九七、〇〇〇円)がいずれも被告主張額どおりであることは、当事者間に争いがない。

そこで、以下に原告の営業所得金額について検討する。

五  (営業所得金額について)

1  売上原価

被告は、原告の売上原価を別表二(営業所得計算表)の「売上原価」欄記載のとおりであると主張し、これを別表三(仕入金額明細表)の各仕入金額から認定している。即ち、昭和三九年分については、原告が年の途中から菓子類等の商品を販売するようになつたことから、青果物以外の商品の在庫高が期末に一〇〇、〇〇〇円増加しているものとして、昭和三九年分の仕入金額から一〇〇、〇〇〇円控除(すべて算出所得率の高い菓子類が増加しているものとして取扱い、菓子類の仕入高から控除)した金額をもつてその売上原価とし、昭和四〇年分については、期首期末の在庫高に変動がなかつたものとして、昭和四〇年分の仕入金額をもつてその売上原価としている。〈証拠省略〉によればその商品在庫高が被告主張どおりであると認められるので、右売上原価の認定は相当であるということができる。

そこで被告主張の仕入金額について検討するに、別表三(仕入金額明細表)のうち、名古屋青果物商業協同組合関係、株式会社林屋関係、名古屋青果物商協千種支部関係、株式会社正直屋関係、新栄屋関係、株式会社長栄軒関係、名古屋製酩株式会社関係、中京コカコーラボトリング関係の各仕入金額については、いずれも当事者間に争いがない。以下、争点分の仕入金額についてみると、〈証拠省略〉を総合すると、次のことを認めることができる。

A  青果物類

イ 青果物(中村鉱一関係)

原告は中村鉱一から果物を、昭和三九年六月から八月まで合計一〇〇、〇〇〇円位、同年九月から一一月までは月平約四〇、〇〇〇円位、同年一二月は六〇、〇〇〇円位、昭和四〇年一月から四月までは月平均四〇、〇〇〇円位、同年五、六月は月平均三〇、〇〇〇円位、同年七、八月は月平均一〇、〇〇〇円位、同年九月は二〇、〇〇〇円位、同年一〇、一一月は月平均四〇、〇〇〇円位、同年一二月は六〇、〇〇〇円位いずれも仕入れていたものである(〈証拠省略〉)。従つて、被告主張額・昭和三九年分二八〇、〇〇〇円、同四〇年分四〇〇、〇〇〇円は相当である。

ロ 豆腐について

原告は長谷川鈴一から、豆腐、油揚げを年間一日平均四〇〇円程度仕入れていた(〈証拠省略〉)。従つて、被告主張額・昭和三九年分五〇、〇〇〇円(=四〇〇円×二五日×五か月)、同四〇年分二一〇、〇〇〇円(=四〇〇円×二五日×一二か月)は相当である。

ハ 麺について

原告は麺類を昭和四〇年中は一か月平均一五、〇〇〇円位仕入れており、昭和三九年中の仕入金額は昭和四〇年中の仕入金額の約六〇パーセントであつたものである(〈証拠省略〉)。従つて、被告主張額・昭和三九年分一〇八、〇〇〇円、同四〇年分一八〇、〇〇〇円は相当である。

ニ こんにやく、卵、茶、漬物、かまぼこ、はんぺん、ちくわについて

こんにやくの昭和四〇年分仕入金額は一か月平均一二、〇〇〇円位、卵は一か月平均五〇、〇〇〇円位、茶は一か月平均一〇、〇〇〇円位、漬物は一か月平均一〇、〇〇〇円位、かまぼこは一日平均二〇〇円位、はんぺんは一日平均三〇〇円位、ちくわは一日平均二〇〇円位であり、昭和三九年分仕入金額は昭和四〇年分に比べてその六〇パーセント位であつた、そして、右品目のうち、こんにやく、かまぼこ、はんぺん、ちくわの仕入は、夏場は極めて少なかつたものである(〈証拠省略〉)。従つて、被告主張の別表四(こんにやく等仕入金額明細表)記載の各仕入金額はいずれも相当である。

ホ 乾物(鳥居商店外関係)について

原告は鳥居商店から乾物を、昭和三九年中に四六三、五五三円、昭和三九年七月三一日から同四〇年一月二〇日までに四九二、九九九円仕入れており(〈証拠省略〉)、昭和四〇年一月二一日以降も乾物を取扱つていたものである。従つて、被告主張額・昭和三九年分四六三、五五三円は相当であり、昭和四〇年分一、〇二二、〇〇〇円については、別表五記載のとおり期間計算により推計したことは相当である。原告は昭和三九年の開店時に缶詰を多く仕入れた旨供述するが、その具体的な仕入金額については明らかでなく、また〈証拠省略〉に照らして判断すると、昭和四〇年分の乾物の右推計額を左右するに足りない。

B  菓子類

生菓子、牛乳について

原告は昭和四〇年中に、生菓子を一か月平均二〇、〇〇〇円位、牛乳を一か月平均一五、〇〇〇円位仕入れていた(〈証拠省略〉)。しかし、菓子類は昭和三九年八月から鹿子殿の店舗のみで販売しているものであるから、昭和三九年分仕入金額は右昭和四〇年分仕入金額の各一二分の五を乗じた金額とみるべきである。従つて昭和四〇年分被告主張額・生菓子二四〇、〇〇〇円、牛乳一八〇、〇〇〇円は相当であるが、昭和三九年分については生菓子一〇〇、〇〇〇円、牛乳七五、〇〇〇円の限度で相当と認める。

C  鮮魚類

原告は鮮魚類を昭和三九年八月から同年一二月まで、二日に二〇、〇〇〇円位の割合で仕入れており(〈証拠省略〉)、昭和四〇年中は一か月平均一二、〇〇〇円位仕入れていた(〈証拠省略〉)。従つて、被告主張額・昭和二九年分一、二五〇、〇〇〇円(一〇、〇〇〇円×二五日×五か月)、同四〇年分一四四、〇〇〇円は相当である。

以上のことを認めることができ、〈証拠省略〉の結果中、右認定に反する部分はにわかに措信することができず、原告提出の各証拠によるも右認定を覆すに足りない。即ち、青果物(中村鉱一関係)、豆腐、乾物(鳥居商店外)の仕入金額についてはいずれも昭和四四年頃その仕入先を調査した結果に基づくものであり、こんにやく等の仕入金額の認定資料とした〈証拠省略〉は、名古屋国税局協議官坂井武が原告からの審査請求の当否を検討するについて昭和四三年七月頃から一〇月頃にかけて一〇回以上原告の店舗へ赴き、その営業に専従していた原告の母及び妹から数回にわたつて聴取した結果を記載したものであつて、その内容はかなり措信することができるものである。これに対し、原告が仕入金額を立証するものとして提出している〈証拠省略〉の結果は、いずれも本件係争年当時の帳簿等に基づくものではなく、一〇年余以前の原告の記憶に基づくものであつて、個々の品目の仕入金額について詳述することは避けるが、結論として、右証拠によつては各仕入金額を認定するに不十分といわざるをえないものである。また、〈証拠省略〉を加えて判断しても同様である。原告は仕入金額について当初より具体的金額の主張をなさず、また伝票、帳簿等の一切ない本件においては、被告提出の前掲各証拠によつて原告の仕入金額を認定、推計することはやむを得ないことといわなければならない。

そこで、前認定によれば、本件係争各年の売上原価は次のとおりとなる。

昭和三九年分    七、八五二、六五六円

内訳(青果物類) 五、六六八、四六九円

(菓子類)    九三四、一八七円

(鮮魚類)  一、二五〇、〇〇〇円

昭和四〇年分   一一、一九七、六五一円

内訳(青果物類) 八、九七五、七四六円

(菓子類)  二、〇七七、九〇五円

(鮮魚類)    一四四、〇〇〇円

2  算出所得率

被告は名古屋千種税務署管内における個人の昭和四〇年分所得税青色申告者で、青果物、菓子、鮮魚の各小売業者の中から、その主張のような方法で各小売業の類似同業者の昭和四〇年分の平均算出所得率(対売上原価)をそれぞれ求め、これを本件係争各年における原告の各品種商品の算出所得率とみなしているが、〈証拠省略〉により認めうる被告のなした同業者の選定方法等右所得率の算定方法は、同業者の類似性、同業者数及び資料の客観性等の諸点よりみて、合理性を有すると認めることができるものである。そして、〈証拠省略〉によりいずれも名古屋干種税務署管内の各同業の個人青色申告者から提出された昭和四〇年分所得税確定申告書(修正申告書を含む)であると認められる〈証拠省略〉によれば、その平均算出所得率は次のとおりであることが認められる。

(1)  青果物類一九・四〇パーセント

(2)  菓子類 二一・〇三パーセント

(3)  鮮魚類 二〇・三九パーセント

原告は、原告の業態が青果物、菓子、鮮魚の三種混合販売であり、またその販売方式がセルフサービス方式、スーパーマーケツト方式であつて、他の専門店、通常販売方式に比べて算出所得率が低いのにかかわらず、被告の所得率の算定方法は右の点を無視した不合理なものであると主張する。

しかしながら、混合販売形態であれば専門店に比べて所得率が低いとする論拠はかならずしも明らかでなく、しかも、〈証拠省略〉によれば、当時名古屋千種税務署管内において原告と同様の混合販売形態の同業者(青色申告者)は他にいなかつたものであるから、品種別に各専門小売店の平均算出所得率を求めたことはやむを得ないというべきである。また、販売方式の差異の点については、天満市場内の店舗は青果物小売の専門店であり、田代町鹿子殿の店舗は、いわゆる薄利多売を旨とした大規模なスーパーマーケツトと異なり、個人経営の小規模な店舗にすぎず、しかも後記認定の如く原告の外に常時雇人がいたものであつて、右店舗で他の専門小売店に比べて特に安売りをしていたと認めるに足る証拠はない。原告はその商品を安く売つていたことの証拠として〈証拠省略〉を提出しているけれども、〈証拠省略〉に照らして判断すると、原告が他店に比べて特に薄利多売の経営をしていたと認めるに足りないものである。原告が個人経営の小規模な小売業である限り、他の個人経営の同業者の平均算出所得率をもつてその所得率とみなすことは合理性を有するものということができる。よつて、原告のこの点に関する主張は採用することができない。

3  算出所得金額

前記1の各売上原価に右2の各算出所得率を乗じて得た算出所得金額は次のとおりである。

昭和三九年分    一、五五一、〇一六円

内訳(青菓物類) 一、〇九九、六八二円

(菓子類)    一九六、四五九円

(鮮魚類)    二五四、八七五円

昭和四〇年分    二、二〇七、六三八円

内訳(青果物類) 一、七四一、二九四円

(菓子類)    四三六、九八三円

(鮮魚類)     二九、三六一円

4  特別経費

特別経費のうち、被告主張の店舗賃借料、建物減価償却費については、いずれも当事者間に争いがない。

そこで、原告主張の雇人費について検討するに、〈証拠省略〉及び弁論の全趣旨を総合すると、次のことを認めることができる。

(1)  森竹国一について

原告は森竹国一を昭和三九年八月から同年一二月まで雇い、月額三〇、〇〇〇円(合計一五〇、〇〇〇円)を支払つていた。

(2)  永塩(旧姓武田)房子について

原告は永塩房子を昭和三九年一〇月から同四〇年八月まで住込みで雇い、昭和三九年一〇、一一月分として各一四、〇〇〇円、同年一二月分以降毎月一八、〇〇〇円(昭和三九年分合計四六、〇〇〇円、同四〇年分合計一四四、〇〇〇円)を支払つていた。

(3)  井上綾子について

原告は井上綾子を昭和三九年七月から同年九月まで住込みで雇つていた。その給料として、原告は月額二〇、〇〇〇円と主張するけれども、後起小松栄子と同額の月額一七、〇〇〇円(合計五一、〇〇〇円)と認めるのが相当である。

(4)  小松栄子について

原告は小松栄子を昭和三九年七月から同年一一月まで住込みで雇い、月額一七、〇〇〇円(合計八五、〇〇〇円)を支払つていた。

(5)  和久野(旧性福原)恭子について

原告は和久野恭子を昭和四〇年九月から同年一二月までパートタイマーとして雇つていた。その報酬として、原告は月額一五、〇〇〇円と主張するけれども、後記田中真佐子と同額の月額一一、〇〇〇円(合計四四、〇〇〇円)と認めるのが相当である。

(6)  浅野高志について

原告は浅野高志を昭和三九年八月から同年一〇月中旬まで住込みで雇つていた。その給料として、原告は月額三〇、〇〇〇円と主張するが、原告の当初主張額である月額二〇、〇〇〇円(合計五〇、〇〇〇円)と認めるのが相当である。前出〈証拠省略〉の記載内容のうち右認定に反する部分は、〈証拠省略〉の結果に照らすと措信することができない。

(7)  田中真佐子について

原告は田中真佐子を昭和四〇年九月から同年一二月まで雇い、月額一一、〇〇〇円(合計四四、〇〇〇円)を支払つていた。

以上のことを認めることができ、〈証拠省略〉の結果中、右認定に反する部分はにわかに措信することができず、〈証拠省略〉によつても右認定を覆すに足りない。

従つて、原告の雇人費は、昭和三九年分三八二、〇〇〇円、同四〇年分二三二、〇〇〇円となる。

5  営業所得金額

前記3の算出所得金額から右4の特別経費及び当事者間に争いのない事業専従者控除額(昭和三九年分二五八 九〇〇円、同四〇年分三三七、五〇〇円)を控除した原告の営業所得金額は次のとおりである。

昭和三九年分   八一六、七三五円

昭和四〇年分 一、五三四、〇五六円

六  (総所得金額について)

以上により、原告の総所得金額は、昭和三九年分一、〇一四、七三五円、同四〇年分一、八三一、〇五六円となり、いずれも本件更正処分により認定された総所得金額より少ない金額である。

なお、原告主張の雑損控除(所得控除)については、これを認めることができない。

七  (結論)

従つて、昭和三九年分の総所得金額を一、一六九、〇〇〇円とする更正処分のうち総所得金額一、〇一四、七三五円を超える部分及び過少申告加算税五、八〇〇円の賦課決定処分中総所得金額一、〇一四、七三五円に基づき算定した所得税額を超過する分にかかる部分、昭和四〇年分の総所得金額を一、九〇〇、〇〇〇円とする更正処分のうち総所得金額一、八三一、〇五六円を超える部分及び過少申告加算税一五、一〇〇円の賦課決定処分中総所得金額一、八三一、〇五六円に基づき算定した所得税額を超過する分にかかる部分は、いずれも違法であるから取消すべきである。

よつて、原告の本訴請求は右の限度で理由があるからこれを認容し、その余は失当として棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条を適用して、主文のとおり判決した。

(裁判官 藤井俊彦 窪田季夫 山川悦男)

別表一ないし五〈省略〉

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